ロールキャベツはトマト味

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満腹の花嫁

今まで何回か結婚式と披露宴に参加したことがあるのだが、そのときに毎回思ったことについて今回は書きたいと思う。

「新郎新婦がご飯を食べてない…。」

挨拶や写真撮影で食べる暇がない新郎新婦。そして高砂(新郎新婦前のテーブルのこと)にズラリと並べられた前菜やスープは殆ど手をつけられていないことが多く、ドンドンと並べられ、ドンドンと冷めていく料理を見て「ああっ!もったいない!なんなら私が食べてあげるのに…!」と食い意地ばかりの心が苦しくなることが何度もあった。1度だけ「どうせ食べられないし」と最初から新郎新婦が食事をなしにして披露宴をしていたことがあったが(途中で「お腹すいた」と参列者のケーキをむしゃむしゃ食べていた)、合理的でよかったと思う。

さて、そんな私が色んなことが巡りめぐって結婚式と披露宴をすることになった。並べられる豪華な食事。美しいタイトなドレスに何とか身体をねじ込み、ニッコリする私。コルセットとガードルってすごい。衣装合わせをしてくれたスタイリストさんにコルセットを着せてもらったときに「人間ってハムになれるんですね…。」と言ってしまったくらいすごい。身体の肉を締め付け、ねじ込み、理想的な姿にしてみせるコルセット。ギチギチと音を立ててもおかしくないほどのホールド力。胃袋と肺がやや苦しくなるほどである。今日は結婚式本番、目の前には豪華な食事。

食べた。モリモリと食べた。スタッフの人たちに「私今までこんなに食べてる花嫁さん見たことないです。」とやんわり言われたくらい食べた。そして完食した。最初のスープから食後のコーヒーまで一滴残らず飲み干した。美味しかった…。若干周りに引かれていた気もするが気のせいということにしておこう。だって、もったいないんだもの。美味しいものを目の前にして食べないなんて私のルールに反する。美味しいものを美味しく食べる。それが私の美学である。ふふん。お酒もおかわりしといた。美味しくいただきました。

そんなわけで、披露宴が終わる頃に、私の下っ腹を見てみると、あの強靭なパワーで私のありとあらゆる部分をホールドしていたコルセットが、ガードルが、ま、負けておる。ぽっこりと出た、いや、パンパンに詰まっている下っ腹がそこにある。ギュウとお腹に力を入れてみると、やや下腹が小さくなったが、逆に苦しくなったので早々と諦めることにする。軽く力を入れるくらいにしておこう。頑張ってくれコルセット&ガードル。負けないで、もう少し、最後まで走り抜けて。

ドレスを脱ぎ、コルセットを外したときに私が見た光景を私は一生忘れないだろう。ビッシリと、あの強靭で屈強なゴムで締め付けられた跡が私の身体に深く刻まれていたのだった。

でも、もう一度してもいいくらい楽しかった結婚式と披露宴。きっと私はまた完食すると思う。