ロールキャベツはトマト味

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トトロのきゅうり

ジブリ映画に出てくる食べ物ってどうしてあんなに美味しそうなのか。「天空の城ラピュタ」の目玉焼きトーストに、「魔女の宅急便」のニシンパイ、「ハウルと動く城」のベーコンエッグ、「千と千尋の神隠し」のあんまん…見るたびに毎回「あぁ、いま目の前にこの食べ物があれば。」と生唾を飲んでしまう。それくらい美味しそうなジブリご飯。あなたはどれが好きですか。

私はなんといっても「となりのトトロ」に出てくるきゅうりを食べるシーンが大好きだ。おばあちゃんが井戸水で冷やしてくれている新鮮なきゅうりにかぶりつくサツキとメイ。サツキが最初にヘタだけをかじってペッと素早く吐き出すのもなんだか手慣れていてカッコいい。あのきゅうりをワシワシと食べる様子を見て、実際にきゅうりを1本用意して食べた人も少なくなかろう。もちろん私もその1人である。この間もトトロを見た時に辛抱たまらなくてきゅうりを食べた。

だが、映画で見たものほど美味しくない。いや、それなりに美味しくはあるのだが、映画の中であの2人が食べているものの方が圧倒的に美味しそうだ。ふむ、なぜだろうかと首を傾げる。口の中はきゅうりの青臭い香りでいっぱいだ。ボリボリと歯応えを楽しみながら考える。

サツキとメイは外で食べているから?おばあちゃんが井戸水で冷やしていたから?それとも新鮮なきゅうりだから?それともきゅうりの品種の違い?

うーんと唸りながらまだきゅうりを食べる。味に飽きたのでマヨネーズやら食塩やらをトッピングして食べる。そういえば、イギリスのアフタヌーンティーにはきゅうりのサンドイッチが定番だが、19世紀当時あちらでは確かきゅうりは超高級品だったらしい。大衆の味方として人気の高い日本とは大きな違いである。

結論が出ないまま、手の中にあったきゅうりを食べ尽くしてしまった。なんとなく納得いかないというか、そこそこは満足したけれど、求めていたのはこれではないというか。

実をいうと、このトトロを見ながらきゅうりを食べるのは3度目である。その度に「もっと美味しいはずなのになぁ。」と、どこか敗北感を覚えてしまう。謎はいまだに解けない。