ロールキャベツはトマト味

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朝食に泣く

COVID-19の予防ワクチンを打ってきた。予約もネットで簡単に取れ、接種もスムーズに終わった。ありがたいかぎりである。副反応に備えてスポーツドリンク、ゼリー飲料、冷却シートも前日から買っておいた。なんなら寝込むことも想定して家事はあらかた済ませてある。夫には「看病してください。」と頼んでおいた(快く了承いただいた)。ここまですれば大丈夫だろう。

数時間後。なんだかボンヤリと頭が痛い。頭痛薬を飲む。少しだが熱もある気がする。とりあえず寝る。

接種翌日。起床。なんだか身体がポカポカしていて熱い。発熱だ。身体がダルい。うぅ。もう今日は何もしない。ベッドで1日を過ごすのだ。気が済むまでゴロゴロしてやる。そんなわけでゴロゴロしながらスマホをいじっていると、私よりも早く起きていた夫が寝室にのっそりと現れた。私のおでこに手を当てて「熱いですね。発熱です。」と医師のような口調で診断をした。続いて「何か食べたいものある?食べれる?」と言うので、「朝ご飯食べたい。」と返した。私は朝ご飯が大好き。

しばらくすると、夫がトーストと紅茶(ストレート)が乗ったトレーをうやうやしく運んできた。私はまだパジャマ姿でベッドの上である。はい、どうぞと渡される。ありがとうと受け取る。

「あ!」と小さく叫んで夫が出て行く。今回はすぐに戻ってきた。彼の片手には牛乳パックがある。そのまま紅茶に牛乳が注がれる。私の好きなミルクティーの出来上がりである。

「ゆっくり食べてゆっくり寝なさい。トレーはあとで取りにくるから。」

夫はそういうと寝室から歩いて出ていった。

私は気付けばボロボロと泣いていた。

なんじゃこりゃ。愛じゃん。純度100%の愛じゃん。寝室で朝ご飯とか洋画か海外ドラマくらいでしか見たことない。それを夫がサラリとなんの見返りのなくしてくれたことに感動した。そして身体が弱っていたのと相まって涙腺も弱っていたのかはわからないが、しばらくの間、涙が止まらなかった。世間から見たらただの、なんてことない、豪華でもなんでもない朝食である。だが、私にとってこれほど素晴らしい朝食はない。