うちの台所は狭いが、料理を始める前に、使う食材とフライパン・鍋はなるべく全部出すことにしている。今日は大小のフライパンと小鍋で三口コンロを埋める。
まずナスを縦に割り、乱切りしてボウルに入れ、少し塩を入れて全体を手で混ぜる。小鍋に水と顆粒だしを入れて火にかける。ニンジンを皮はむかずに千切りに、レンコンは皮を向いて薄切りにした後適当な大きさに切り分ける。レンコンを扱うのは今年で初めてかもしれない。小さいフライパンにごま油を入れて温めたらニンジンとレンコンを入れてしばらく炒める。そのうちに小鍋のだしが沸くので豆腐を切って入れ、ふえるワカメを水で戻す。
そうこうしながらネギを青い部分も白い部分もざくざく斜め切りにし、全部大きいフライパンにいれる。シメジのいしづきを落とし、マイタケも一緒に手でばらばらにほぐして同じ大きいフライパンに入れる。ニンジンとレンコンには砂糖と醤油とみりんを加えてさらに炒める。ふえたワカメを絞って小鍋に入れ、味噌を溶く。
ナスをぎゅっと絞って小鉢に入れ、鰹節と醤油をかけ回し、冷蔵庫に納める。大きいフライパンのネギとキノコの上に秋鮭の切り身をそのまま入れ、ごま油、酒、醤油、みりんをかけて蓋をして弱火をつけ放置。ここにナンプラーを入れてもおいしい。
大きいフライパンの鮭に火が通れば、鮭のネギきのこ蒸し、ニンジンとレンコンのきんぴら、ナスの塩もみ、豆腐とワカメのお味噌汁が完成する。冷凍していたごはんをレンチンする。
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ブログの文章が大好きなKiEさんからありがたいご依頼をいただいた際、せっかくだからとお題までねだったところ、「半径5m以内の幸せ」といただいた。素晴らしいお題だ。申し遅れましたがFIGAROという者です。普段は映画や本のレビューなどをしています。
5m、5mかあ。日常ってほどじゃないけど、前々から企画するような距離感でもない。半径5mの幸せ、野菜をもりもり調理することかも。と思い至った。
嗜好品の好き嫌いは山ほどある割に、野菜はけっこう何でも好き。でも下手したら食べるよりもっと、大量の(できれば旬の)野菜を、次から次へ料理していくのがすごく好き。
自覚したきっかけは、豪雨で被災した地域のふるさと納税で野菜詰め合わせを取り寄せたことだったと思う。段ボールいっぱいの野菜を一気に食べ物に変えていく楽しさを知った。八百屋さんでは手に取ったことのなかった野菜もたくさん届いた。菊芋、ハヤトウリ、バターナッツカボチャ。どれも大好きになった。
特に在宅勤務でむしょうに疲れた日は、山ほど野菜を買ってたくさん料理する。葉や実や根や塊茎の手触りや水気で安心するのかもしれない。今は鍋を作りまくる日々が楽しみで仕方ない。きっとまた野菜の物価高が続いても我慢できずに買ってしまうと思う。野菜を切り、火を入れ、味をつける営みには生命維持以上の価値がある気がしてならない。
寄稿者:FIGARO様
ブログ:https://figaro2019.wordpress.com/
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