なんでもない水曜日のこと
最近、朝は4時か4時半に起きることにしている。今朝は、目を覚ますことができたものの布団からは出られなかった。インターネットをやったりSNSを眺めたり、無駄な時間を過ごしたあと5時ごろにのそのそと布団から這いずり出した。
台所へ行きお湯を沸かし、コーヒーを入れたら、マグカップを持って自室に戻り、部屋で飲む。この時間が一日の中で一番優雅だと思う。手帳に一日のやることを書き出して、ぬるくなったコーヒーを飲み終えたら少し筋トレをする。ブラックコーヒーを飲んだあとの運動は脂肪燃焼効果が高い、みたいなインターネットで聞きかじった言説を信じて、やらないよりはマシだと言い聞かせて適当なスクワットなんかをやる。
そして台所に降りて、またコーヒーを飲むためのお湯を沸かす。ケトルをセットしたら外に出て、郵便受けを見る。新聞を読むためだ。
我が家は新聞屋に乗せられた結果、大手二社の新聞を交互に購読することになっている。もういい加減やめなよと言っていたのだが、玄関先に来る新聞屋は我々が日常で使う洗剤や米を山ほど持ってくるという。そして「今購読いただけるとこれをプレゼントします」とやってくるのだ。まあ生ゴミを包むのには役立つし、ということで人のいい両親が契約し続けているにすぎない。いや、父は毎朝目を通しているが。
新聞の購読契約が、果たして何年先まであるのかは我が家の誰も知らない。父は知っているかもしれないが母は意識すらしていないだろう。二年先なのか三年先なのか、それとも今年限りで交互の繰り返しは切れてしまうのか。
ある時期になると新聞屋が更新のお知らせに来るのだが、来年は違う新聞を取る予定らしいと伝えると「じゃあその次でいいです！」と元気よく言われてしまう。
最近になるまで、私は我が家がどこの新聞をとっているのか全く知らなかった。興味がなかったと言っていい。先日、ふと思い立って新聞を読んだ時も、これは一体どこの新聞なのだろうということは意識しなかった。新聞に色があるとか思想があるというのは知識として知ってはいるものの、ニュースを通年読み、比較しないと色はわからないだろう。女性ファッション誌の色ならなんとなくわかるけど、新聞はまだわからない。
しかしそんな私がなぜ新聞を読み始めたのかと言えば、南海トラフ地震のニュースを読みたかったからだ。
SNSを追っていると嫌でも情報が目に入ってくるが、怖いトーンの情報が多い。当然そういうトーンで伝えないといけない重要情報のはずなのだが、平熱の情報を読みたかった。これは正常性バイアスに入るのだろうか。しかし今の私には誰かの感情が入る情報ではなく、客観的な情報のみが必要だった。全国紙ならそこまで感情的ではないだろうと思った結果、目の前にあった新聞を読むことにしたのだ。
新聞はこの紙一枚にしか情報が入っていない。だから私の端末に千も万も入り込んでくる情報と比べると全く速報性はないけど、一通りの「世の中」が収まっているので、ベスト盤のような感じで読むことができる。世の中の入門版。当然読み飛ばす項目は結構あるのだけど、その読み飛ばす文字も視界の端に入るというのは大きい。インターネットなら最悪の場合ミュートしてしまうので視界にすら入らない事象が、すっと横切っていく。
今朝の紙面では槍投げの北口榛花さんのコメントが紹介されていた。チェコ語が堪能だというニュースを読み、そういえば先ほどテレビでもGoogle pixelのCMで三苫薫さんが「世界で活躍するためには英語が必要で、だからGoogle pixelは便利」みたいなことを言っていた。ニュアンスが違ったら申し訳ないけど、自分はそのように解釈した。新聞をめくると英語学習やTOEICの話がまた目に入る。ああ、私はいま英語学習をしたいのだろう、というかそこに猛烈にコンプレックスがあるのだろうな、と理解した。
英語を身につけたいなと思いながら、Duolingoの、ごく簡単なクイズのようなものを2分程度やって終わらせている人生。こんなクイズじゃなくてちゃんと学ばなければと思いつつ、日々疲弊してそんな時間は取れないと諦めてしまっている。しかし新聞で読んだ英語学習の話は「職に直結する」という話だったから、自分のような人間には語学こそが必要なのではないか。何も職能がない、自分のような人間にこそ…。
暗いことを考えだしたので新聞をたたむ。ちょうどコーヒーも飲み終えそうだし、パンを焼いて食べる。あと少ししたら始業時間になってしまう。カフェインをとりすぎて痛む頭で、今日も一日元気に働かないといけない。とりあえず、自分のタスクリストに「英語の参考書を見に行く」と書いた。きっと来月の私が取り組むだろう。
ネコミミ 様
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