ロールキャベツはトマト味

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博多のごはん

2年ほど前の梅見の時期に友人と2人で福岡に旅行で行った。確か、新幹線のこだまが前売り格安チケットを売っていて「行こうぜ博多!」とトントン拍子で決まった旅行だったはず。

 

始発の新幹線に乗り込み約3時間、眠気と空腹に耐えながら博多駅に着いたとき、我々の胃袋は早くも限界である。理由は簡単、博多グルメを新幹線で移動中にこれでもかというくらい調べていたから。

「朝ご飯を…朝ご飯を食べましょう。」

そう言うや否や駅の案内板にダッシュで向かい、せっかく九州に来たのだからとJR九州が手がける卵の卵かけご飯が食べられる店に直行した。

これがもう美味しいのなんの。今まで卵かけご飯に対して、あのズルズル感とぼやけた味に若干の苦手意識を抱いていたが、「大丈夫!これが美味しい卵かけご飯ですよ!」と頭をはたかれたような衝撃だった。ほかほかの白ご飯は一粒一粒がしっかり立っていてそのままでも十二分に美味しいというのに、卵自身の濃厚な味とかけるだし醤油の味がまた合う。思わず、「美味しい美味しい」と声を出しながら食べていたら、友人も同じように「美味しい」とパァッと顔を明るくさせてした。

初っ端から九州グルメのレベルの高さに感動しつつ、駅のお土産コーナーの案内板を見ると「博多あまおうグルメ勢揃い」とある。ご存知の方も多いだろうが、あまおうとは苺の品種で、あまい、まるい、おおきい、うまい、の4つの単語の頭文字を取った名前である。そんな美味しい苺グルメがそこに勢揃いしてあるのなら、是非参りましょうと少し早足でお土産コーナーへ向かった。

「国境の長いトンネルを抜けると、そこは雪国だった。」

そう書いたのは川端康成であるが、

「駅構内の連絡通路を抜けると、そこは天国であった。」

まさしくそんな光景が目の前に広がっていた。どこもかしこも、あまおうの商品が所狭しと並んでいて各店舗のスタッフが「美味しいですよ!」と声をあげて売り込んでいる。ひゃーどこのお店で買おうかと喜びの悲鳴をあげながらフロアを右往左往していると、とある店にずらりと行列ができていた。他の店も賑やかではあるが、こんなにも人が並んでいるのはここだけである。何だろう。チラリと横にいる友人の表情を見ると、気づいたのか好奇心の塊のような顔でこちらを見るので、ならば買いましょうと列に並ぶことに。お店の名前は「伊都きんぐ」。あまおう苺に特化した加工販売所である。

なになに。どうやら、あまおう苺の時期にあまおうをまるごと挟んだどら焼きを期間限定で売っていてそれが人を集めているようである。では、それを2つくださいと無事に購入。スタッフの女性の愛想も大変人懐っこい感じで良く、「帰りも来ますね」と軽い会話をしながらどら焼きを受け取った。見た目に反してずっしりと重い。これは期待できるぞと早速、空いていたバスの待合室で食べることにした。食に対して我慢ができない2人である。

伊都きんぐのあまおう苺どら焼き、あまりにも美味しすぎて「嘘やろ」と絶句した。なめらかな生地のしっとりふわふわ感、クリームとあんこの控えめな甘さ、果汁が詰まったジューシーなあまおう苺の歯応えと甘酸っぱさが合わさったときの美味しさときたら。どう言葉にしていいのかわからないくらい美味しかった。なんという完成度、なんというクオリティの高さ。

帰りも行こう。絶対に行こうねと友人と固く誓いながら我々はまた別の博多グルメを求めてバスに乗ったのであった。そう、これはまだJR博多駅内の話だったのである。